先日、「特定社会保険労務士」の方とお話しする機会がありました。
「こんな質問を最近ある歯医者さんからされたのですがコメットさんは、いかがですか?」
「どの様な質問ですか?」・・
「それは、有給休暇に関することですよ。ある職員は病気を理由に突然有給を取ります。はじめは、有給は出勤したものとして扱うのは当然と思って皆勤手当を支給していましたが、あまりにも頻繁なので、この場合皆勤手当を支給しないようにしようと思うのですが。」
と言うのも、多くの歯科医院は、ローテーションを組んでぎりぎりのところで診療所を運営しています。ですから、突然有給だといって休まれると診療所の正常な運営に支障をきたすのです。勿論十分に前もって申請されてもどうにもならない人手不足で、患者様にご迷惑と歯科診療が正常に行えないこともありますね。そこで経営者から申請の日付を変更してもらいたい、との意思を無視されたならば、皆勤手当を不支給にしようと思うという訳です。全くこの先生のお気持は、私にも良―く 身にしみるほど分かりました。ですから有給も取らずに頑張ってくれてくれたスタッフには、ボーナスで余分に感謝を込めて、高い評価をさせてもらっているのです。しかし有給は、スタッフにとって取る権利のあるものと言うことですから・・・私は、こう話しを続けました。
「以前 この件(有給とった場合、皆勤手当を支給しない件)で私は、労働基準監督署に問い合わせたことがあるのです。その際 「有給休暇を取得したことによる不利益取り扱いになるからで皆勤手当は不支給にできない」という回答をいただいたのですが・・」
ところが、彼から意外なことが知らされました。
「確かに労働基拳法附則第136粂には使用者は「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取り扱いをしないようにしなければならない。」と書いてありますが、・・・
それに労働基準監督署で回答する人は必ずしも労働基準監督官ではなく、たとえ、労働基準監督官であってもすべてに精通しているわけではありません。また裁判になり労働基準監督署の見解が覆ることもあります。」
びっくりした私は、「そのような判例があるのですか?」とお聞きすると、一枚の判例が書かれた記録を見せてくれました。
「はい、あります。タクシー運転手が有給休暇を取ったことを理由に精皆勤手当を不支給にされたことは無効であるとして訴えた事件で最高裁判決は、有給休暇を定めた労働基準法第39条の精神に沿わない面を有するとしつつも「その趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、年次有給休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、年次有給休暇を取得する権利の行使を抑制し、ひいては同法(有給休暇を定めた労働基準法第39条)が労働者に権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものでない限り、公序良俗に反して無効とすることはできないと解するのが相当である。」(沼津交通事件)として有給休暇取得に伴い皆勤手当を不支給ないし減額したことを有効としています。
物事は、両面からの事実確認、状況判断が大切なのですね。勉強になりました。私も臨機応変に考え方を少し調整してくつもりです。
※ 患者様からの頂き物です。ありがとうございました。
「骨折って勤勉に働く者の魂は、心地よいものを見出すのである。幸いな者と呼ばれる」(聖書)
※ 明日は、出張致しますので、ブログはお休みいたします。
○・o。。o・○・ コメット歯科クリニック 副院長 金光 千寿子 ・○・o。。o・○・また行きたくなる歯医者|無痛治療 |インプラント|アメリカ式顎関節治療