JUGEMテーマ:日記・一般

今日の岐阜は、雪がちらつきました。
オリンピックは、男子 フィギュアで金 銀の快挙!日本中 勇気をもらって沸き立っていますね。
そんな中、まだ23.5坪の小さなテナントで開業していた、コメット歯科の時代をフッと思い出しました。
それは、冬の寒い夕暮れ時でした。石焼芋の屋台(リヤカー)が来たことを告げる
「ぷ―ぶ一、ぶ一ぷ」 ラッパの音が玄関の前で動かずに、鳴らし通して止まっていました。
※写真は、イメージです。
見ていたら買う人もいないので、 しばらくいて、それから通り過ぎていく…
そんな日がその後、数日続きました。いつもお客様の来る道路の方向ではなくて、
こちらの方(貸しビルの2Fにあるクリニック)を覗きこんでいる様子?
それで何かコメットに用事ではと思いながら???
…おじさんにいきなり尋ねると、不審に思っているように感じて、気を悪くされてはいけないから・・・
自然な言葉で「おじさん! 美味しそうな石焼芋ね、ひとつ下さい!
ここ3日程ず一つと“ぷ一、ぶ一、ぶ―"という音が、何か物言いたけに聞こえて、
気になっていたの、何か用事ありました?」
「実は歯が痛くてまいっている。診てもらえるかなあ? こんな格好じゃ汚くて恥ずかしい、
迷惑かな? 東北から出稼ぎで来ているんだ。
保険証持っていない一」
「心配ないわよ、治療費は必要だけど保険証はなくても治療は出来ますよ!」
「口の中を見たら、きつとビックリされ嫌がられるんじゃないかと思う」
「大丈夫ですよ!」(笑)
…とは言ったものの、いざお口の中を診てみたらプラークがいつぱい溢れています
それを除けて、 どこが虫歯か見つけなければならない難工事となりました。
まるでブッシユの中でキツネの巣穴を見つけるみたいな作業です 口臭もかなり・・・
でも、そんなふうになった歯でもまだまだ救える余地がありましたので、
神経治療を伴なう、虫歯の治療をやっていきました。
来るたびにお口の中がキレイになって、ご本人の衛生状態もよくなりました。
歯みがきした時に“ツルッ"とした歯は、気持ちが良い事を理解されるようになりました。
クラウンをかぶせるに際して、材料を何でやるのか相談させて頂いたら
「ワシは先生にすごく感謝している・・人として優しくしてもらって嬉しい、
先生の気持ちを信頼するからワシにとって一番良い方法でやって欲しい」
とのことでした。入れ歯もクラウンもインレーなど全体的に治療させて頂きました。

2カ月間ほどの期間を費やして、治療が完了しました。30年以上前のことで、治療費の総額が
かなりの金額になりましたが、おじさんは最後の治療の日に全額をスッキリ支払って下さいました。
しかも、その日はステキなセータを着て、その上にカッコ良いブルゾンを羽織り、
品の良いパンツをはいてオシャレして来られました。
私は、思わず「ヒヤァ〜〜! ビックリ! ステキ!まるで昨日見てきた映画の助演男優さんみたい!」
おじさんは「自分を信頼してくれて、助けてくれた人の恩は、決して忘れない。
岐阜で過ごし、コメットに通った時間は、一生の思い出だ。治療がすんだので帰るんだ」
とチョッと涙ぐんで寂しげに言いました。
春になったので故郷・東北に(白樺〜青空〜南風〜北国の春♪)
帰って行かれました。
今でも時々、昨日の出来事のように、おじさんの事を懐かしく思い出します。
 
「朝に種をまき、夕方になるまで手を体めるな。あなたは、これがどこ
で成功するか、ここでかそこでか、あるいはそれが両方とも共によくな
るか矢口らないからである」(聖書より)

人は見かけで判断することなく、いつでもどこでも良いと思われるこ
とは積極的に行っていくことが大切ですね……。
※明日は、東京出張です。ブログもお休み致します。